部屋が真っ暗だと眠れない。
もう高校二年生なのに暗闇が怖い。
だから寝る時は枕元の電気スタンドを点けっぱなしにしている。
部屋全体が蛍光灯のオレンジ色になって温かく感じて、怖さと寂しさがちょっとだけ緩和される。
寝付きは良い方だと思う。
横向きになってスマホをいじっているといつの間にか朝になっている。
でも、今日は様子がおかしい。
出窓の方から何か気配がする。
そうはいってもここは二階。
よじ登れるような足場や管はない。
なのにカーテンの向こうに何かいる気がする。
私は怖くて強く目を閉じながら手探りで電気を点け、ゆっくりと目を開け恐る恐る出窓に視線を移した。
特に変わった様子はない。
いつものようにクマやネズミのぬいぐるみがこっちを向いて仲良く並んでいるだけだった。
良かった、気のせいか。
また電気スタンドに切り替えようとした。
「こんばんわー」
出窓からの声に目をやると、クマのぬいぐるみの後ろにアゲハチョウのような羽が見えた。
私が理解をする前に羽が揺れ、後ろに隠れていた羽を持つ何かが顔まで三十センチくらいの距離に飛んできた。
「あのー、こんばんわー」
「キャー!」
「ちょっ、静かに!」
私の声が響く前に手で口を押さえられた。
妖精? 上下緑色の服を着て、羽でホバリングしている。顔からすると男かな。
けっこうイケメン。
「あなたの願いを一つだけ叶えに来ました」
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もう高校二年生なのに暗闇が怖い。
だから寝る時は枕元の電気スタンドを点けっぱなしにしている。
部屋全体が蛍光灯のオレンジ色になって温かく感じて、怖さと寂しさがちょっとだけ緩和される。
寝付きは良い方だと思う。
横向きになってスマホをいじっているといつの間にか朝になっている。
でも、今日は様子がおかしい。
出窓の方から何か気配がする。
そうはいってもここは二階。
よじ登れるような足場や管はない。
なのにカーテンの向こうに何かいる気がする。
私は怖くて強く目を閉じながら手探りで電気を点け、ゆっくりと目を開け恐る恐る出窓に視線を移した。
特に変わった様子はない。
いつものようにクマやネズミのぬいぐるみがこっちを向いて仲良く並んでいるだけだった。
良かった、気のせいか。
また電気スタンドに切り替えようとした。
「こんばんわー」
出窓からの声に目をやると、クマのぬいぐるみの後ろにアゲハチョウのような羽が見えた。
私が理解をする前に羽が揺れ、後ろに隠れていた羽を持つ何かが顔まで三十センチくらいの距離に飛んできた。
「あのー、こんばんわー」
「キャー!」
「ちょっ、静かに!」
私の声が響く前に手で口を押さえられた。
妖精? 上下緑色の服を着て、羽でホバリングしている。顔からすると男かな。
けっこうイケメン。
「あなたの願いを一つだけ叶えに来ました」
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