こんな話でいかがですか?

~Summer Heartbreak~

日々の出来事をメインに書いています。
兎にも角にも書くことが好き。

興味を持っていただけたら、小説家になろうもチェックお願いします。

シェアブログというサイトでライターをやらせていただいています。
こちらもよろしくお願いします。


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彼女の願いごと

部屋が真っ暗だと眠れない。
もう高校二年生なのに暗闇が怖い。
だから寝る時は枕元の電気スタンドを点けっぱなしにしている。
部屋全体が蛍光灯のオレンジ色になって温かく感じて、怖さと寂しさがちょっとだけ緩和される。
寝付きは良い方だと思う。
横向きになってスマホをいじっているといつの間にか朝になっている。

でも、今日は様子がおかしい。
出窓の方から何か気配がする。
そうはいってもここは二階。
よじ登れるような足場や管はない。
なのにカーテンの向こうに何かいる気がする。

私は怖くて強く目を閉じながら手探りで電気を点け、ゆっくりと目を開け恐る恐る出窓に視線を移した。
特に変わった様子はない。
いつものようにクマやネズミのぬいぐるみがこっちを向いて仲良く並んでいるだけだった。

良かった、気のせいか。
また電気スタンドに切り替えようとした。

「こんばんわー」

出窓からの声に目をやると、クマのぬいぐるみの後ろにアゲハチョウのような羽が見えた。
私が理解をする前に羽が揺れ、後ろに隠れていた羽を持つ何かが顔まで三十センチくらいの距離に飛んできた。

「あのー、こんばんわー」
「キャー!」
「ちょっ、静かに!」

私の声が響く前に手で口を押さえられた。

妖精? 上下緑色の服を着て、羽でホバリングしている。顔からすると男かな。
けっこうイケメン。

「あなたの願いを一つだけ叶えに来ました」


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営業の電話で遊んだら

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19時30分過ぎ、スマホに見慣れない番号から電話が掛かってきた。
ちょうどパソコンの前にいたのでコールしている間に番号を検索すると、大阪からのようだった。

「もしもし」
「もしもしー、カズキさんのケータイでよろしいでしょうか?」
「何ですか?」
「私、株式会社◯◯の瀬下と申しますー」(←会社名伏せただけでもありがたいと思え)
「はぁ」
「資産運用のお手伝いをさせていただいておりまして、この度は不動産投資を…」

よくある営業だ。
独特で軽そうな関西弁が鼻につく。
歳は私と同じくらいだろうか、いかにもうさんくさい声をしている。


「その前に、会社名の漢字を教えていただけますか?」
「あ、カタカナですー」

ググった。

「ホームページないんですか?」
「ありますよー!」

いや、絶対ないだろ。
何度スクロールしても見付からない。

「まぁいいや、どうして私の番号を知ってるんですか?

知らない番号から掛かってきたら必ず訊くようにしている。

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シュークリームとロマンスグレー

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スマホが普及する前、コンビニでバイトをしていた頃、道を尋ねに来店する人がよくいた。
道案内の業務は交番なのに、何故かコンビニに来る。
地図を読むのが苦手な私にとって苦痛だった。

「◯◯病院って何処か分かる?」

70歳くらいのおじいさんが、レジが空くのを待って私に訊いた。

「ごめんなさい、この辺地元じゃないからよく分からないんですが、多分あっちの方だと……」

なんとなくの方向を指す。
何処でどっちに曲がって、などの説明まではできないから、いつもそんな対応をしていた。

「ありがとう、迷ったらまたその辺で訊いてみるよ」

彼はシュークリームを2つ買い、爽やかに店を出た。


数時間後、彼はまた来店した。
手にはさっきのシュークリームが入ったレジ袋。
まさか、辿り着けなかったのだろうか。

「お兄ちゃん、さっきはありがとうね」
「いえいえ、場所分かりました?」
「うん、これお礼にあげるよ」

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