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「男ってさ、ヤれれば女は誰でもいいんでしょ?」

なんて思っている女性もいるかもしれないけど、そんなことは一切ない。
それは見た目がキレイだとかブスだとかの問題ではなく、醸し出す雰囲気にある。

たとえば、雰囲気のない美人と、雰囲気のあるブスの2人の女性が全裸でベッドに横になっているとしよう。
そんなときは、美人の方に反応しないのに、ブスの方にエレクトするなんてこともある。
エロというものは本当に深いと考えさせられる。





ケーキ屋で働いていたとき、1歳上の女の子とよく一緒に仕事をしていた。
仕事終わりによく食事に行く仲で、お互いの恋愛話もしていた。
彼女は決して美人ではないが、笑顔が可愛くて、とても真面目な性格で、きっと学生時代は男がほうっておかなかっただろう。

でも、彼女に「そうゆう」感情は生まれなかった。
彼女が元ソフトボール部で健康的な印象のせいなのか、エロい要素は見つからなかった。
それこそ、ベッドに全裸で横になっていてもエレクトしないだろう。
正直、誰でもいいと思っていた時期だったのに、自分がこうなるとは思わなかった。





その日も彼女と食事をしていた。

「ねぇねぇ、これ買ったんだ!」

本を私に差し出す。
タイトルはうろ覚えだが、『小悪魔女子になるために』のようなものだった。
そうゆう類の本を買うイメージがなかったので、つい笑ってしまった。

「何これ?」
「笑うな! 私には女としての魅力がないから、こうゆうので勉強しないと…」

自分でそれに気づいていることに感心した。
自撮りをアイコンにする勘違いブスには彼女を見習ってほしい。

「魅力がないなんてことないよ、彼氏いるじゃん」
「…うん、でも最近上手くいってないんだよねー」

どうやら、彼氏を振り向かせるために買ったようだ。
なんだ、可愛らしい一面もあるじゃないか。

「ちょっと中身を見せ…」
「あー、ダメダメ!」

本を開こうをした瞬間取り上げられた。
上の句の最初の3文字で札を払う、百人一首の名手のように速かった。

「まずは西山くんに試すんだから、読んじゃったら効果ないでしょ?」
「実験台かよー」


そのときは何も思わなかったのだが、帰って布団に入ったら悶々としてきた。
『まずは西山くんに試す』って、俺に効果があったらどうすんだよ…?
まさか…いや、まさかねぇ…。

朝起きてからもまだあの言葉が脳裏に焼き付いていた。
完全にやられていた。
もしかしたら、その本に、「『この本を買ったから、まずは◯◯くんに試すね』と言いましょう」という教えが書かれているんじゃないか?

少し早く家を出て、出勤前に本屋に寄ってその本を立ち読みした。
こんな本を読んでいるのを店員や他の客に見られたら恥ずかしいので、小説コーナーに持っていって読んだ。
こんなの、エロ本よりも恥ずかしい
なるべく早く元の棚に戻したいので急ぎ気味でページをめくった。
どこだ、どこに書いてあるんだ…!

しばらく探しても見つからなかった。
そんな教えは書いていなかった。
あんなセリフを言えるなら、あいつとっくに小悪魔だよ



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